家政婦に支払うお金から源泉徴収しなければならないのはどんな時?
源泉徴収というのは働いている皆さんにとっては馴染み深いものですよね。給料を支払う事業者が、その支払う金額から予め所得税を差し引いて国に納める制度のことで、このときに差し引く所得税が、源泉所得税と呼ばれているものです。この源泉所得税は、差し引いた事業者がまとめて従業員それぞれの管轄の税務署に支払う仕組みになっています。以前、記載した「家政婦に支払ったお金は経費にならない?なる場合の違いと注意点を解説!」というコラムで『「個人契約している家政婦さん」は「家事使用人」にあたるので、雇い主は源泉徴収の必要がありません。その代わり「個人契約している家政婦さん」は毎年ご自身で確定申告をしなければなりません。』と述べました。しかし、上記にも例外があり、「個人契約している家政婦さん」から源泉徴収しなければならない場合もあるのです。今回は「個人契約している家政婦さんに支払うお金から源泉徴収しなければならないのはどんな時?」なのかについて、お話しをしておこうと思います。
目次 源泉徴収は個人に対して行うもの 源泉徴収しなくてもよい場合 家政婦を常時3名以上雇用している場合は、源泉徴収が必要になる 安心安全にご利用いただくなら「家事代行サービス」がオススメ |
・源泉徴収は個人に対して行うもの
源泉徴収をしなければならないものは、給料・退職金・報酬・配当・利子・等々、たくさんのものがあります。今回は、個人契約している家政婦さんに支払ったお金に関する問題を取り上げているので「報酬」を中心に考えていきます。源泉徴収しなければならない「報酬」として代表的なものは、デザイン料・弁護士報酬・原稿料といったところでしょう。例えば、個人のデザイナーに会社のロゴのデザインを依頼した場合、その「報酬」を支払う場合は源泉徴収をしなければなりません。この例のように、源泉徴収はあくまで個人に対してするものであり、法人に支払う「報酬」については源泉徴収の必要はないということを改めてご認識ください。
・源泉徴収しなくてもよい場合
「この報酬やこの料金については源泉徴収をしなければならない」ということは法律できちんと決められています。但し、法律に記載されている源泉徴収しなければならない報酬や料金であっても、源泉徴収しなくてもよいケースもあるのです。
それは、報酬を支払う側が次のような場合です。
- 事業を営んでいない個人の場合(=個人だけど、個人事業主ではない場合)
- フリーランスもしくは個人事業主であるが、人を1人も雇用していない場合
- 雇用はしているものの、その雇っている人が家事使用人(2名以下)の場合
・家政婦を常時3名以上雇用している場合は、源泉徴収が必要になる
再度の強調で恐縮ですが・・・「個人契約の家政婦さんを2名までなら雇っていても源泉徴収しなくてもいいけれど、3名以上雇う場合は源泉徴収しなくてはいけない」と税法で決まっています。
なぜ2名までなら源泉徴収が不要で、3名から源泉徴収が必要になるのか。色々な資料をあたって探ってみましたが、その明確な理由を皆様に詳らかに解説することは、私には手に余るものでした。少なくとも、この根拠となるのは下記の「所得税法」の第百八十四条と第二百条です。
(源泉徴収義務) 第百八十三条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。 (省略) (源泉徴収を要しない給与等の支払者) 第百八十四条 常時二人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者は、前条の規定にかかわらず、その給与等について所得税を徴収して納付することを要しない。 |
(源泉徴収義務) 第百九十九条 居住者に対し国内において第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等(以下この章において「退職手当等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その退職手当等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。 (源泉徴収を要しない退職手当等の支払者) 第二百条 常時二人以下の家事使用人のみに対し第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者は、前条の規定にかかわらず、その支払う退職手当等について所得税を徴収して納付することを要しない。 |
税法は、私のような門外漢には非常に難解なものです。弁護士、司法書士、税理士、社労士といった士業の報酬には、源泉徴収が必要なのにも関わらず、行政書士に支払う報酬には源泉徴収が不要であるとされていたり、ウェブサイトの制作料には源泉徴収が不要なのに対して、ウェブサイトのデザイン料には源泉徴収が必要があったりと、非常に紛らわしく、解釈が難しいものです。必要に応じて、税理士の先生など専門家にご相談されることを強く推奨いたします(尚、本コラムは平成22年8月17日の法律、状況に基づいて執筆しておりますので、予めご了承願います)。
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